SIer系とweb系の違いとは?【現役SIer系SEが解説】

SIer系とweb系の違いとは?【現役SIer系SEが解説】

 

本記事では、
SIer系とweb系の違いとは?【現役SIer系SEが解説】と言うタイトルで記事を書いていこうと思う。

■経緯

ITエンジニアと言う職業の人気が高まっている昨今、ITエンジニアへの就職や転職をしたい!」と考えていると言う人は、多いと思う。

しかし、いざ就職・転職を考え業界研究を始めて見ると、IT業界内の大きな分類として、「SIer系とweb系」と言う大きく二分したカテゴリーが存在することに気づくことになる。問題なのは、両者は具体的な線引きが曖昧なために、初心者にとっては理解し難い概念であると言うことだ。

実務経験、及びプログラミング経験すら浅い初心者の方にとっては、両者の具体的な違いが今いちピンと来ず、「結局自分はどちらを目指せば良いの?」と言うところに行き着くエンジニアのたまごの方がすごく多いように見受けられる。

なので本記事では、上述したような、SIer系とweb系の違いが分かっていないことが原因で、自己の適切な目指すべき進路に迷っている駆け出しエンジニア向けに、SIer系とweb系の違いをなるべく明確にした上で、一体自分がどちらに向かうべきなのかと言う点について分かるよう、SIer系で約4年働いた筆者が持論を述べていく。

 

SIer系とweb系の違い

初めに結論から述べておこう。

ズバリ、SIer系とweb系の違いは、
「他人のモノ作りがメインか、自社のモノ作りがメインか」と言う違いである。

SIerとweb系の違いの画像

 

具体的な用語に置き換えると、「受託開発をするか、自社開発をするか」と言う違いとも言える。

※事業の中身を言ってしまえば「受託開発か、自社開発か」の違いとなるのが結論なのだが、本記事では、「SIer」や「web系企業」と言った単語の概念が分からない人のために、なるべく分かりやすくするためにあえてこのような書き方になっていることをご了承願いたい。また、付随して、厳密な点(web系=自社開発ではない点など)にはなるべく触れないことをご了承願いたい。

 

SIer系の特徴(簡単に)

SIer系のお仕事の特徴

 

SIer系が行うのはシステムインテグレーション事業(略してSI事業)と呼ばれるもので、簡単に言うと、お客さんの業務のIT化をトータルサポートする事業のことだ。

具体的には、お客さんが業務上必要とするシステムやアプリケーションの開発から運用、保守までの過程を全てを請け負うことで、対価としてお金をいただくと言う事業内容になっている。。

つまるところ「他人のモノを作ってお金を稼ぐ」と言うのがSIer系企業の特徴だ。

 

web系の特徴(簡単に)

web系のお仕事の特徴

対してweb系が行うのは、多くは自社サービスの提供だ。

自社サービスとは、簡単に言うと、自分たちの会社が独自で作り上げたシステムやアプリケーションのことだ。そして自社サービスを通じて、お金を稼ぐことを生業としている(例:利用者の課金やサブスクといったサービス使用料、商品購入など。または広告収入、etc)。

つまるところ「自社のモノを作ってお金を稼ぐ」と言うのがweb系企業の特徴だ。

 

コラム

web系と聞くとブラウザのwebアプリ開発を想像すると思うが、現代ではスマホアプリの開発などもweb系に含まれる。つまり「スマホアプリエンジニアです!」と言う人はweb系と言うこと。

 

SIer系とweb系の詳細な違い




 

SIer系とweb系の詳細な違いに関しては、長ったらしく語る気はないので、以下に箇条書きでまとめてみた。

SIer系とweb系の詳細な違い

■ SIer系の特徴

  • BtoB
  • 開発〜保守〜運用までとトータルサポートを行う(SI事業)
  • 大企業や官公庁など、大規模システムを取り扱うことが多い
  • メーカー系とか独立系とか、SIerにも実は種類は色々ある(※後述)
  • BtoBが基本のため、お堅い雰囲気。基本はスーツ。
  • 扱う技術や開発体制など基本的に何事も古い。
  • 技術力は全体的にそこまで高くない。
  • 業界自体の元が太く、仕事も給料も安定している。

 

■ web系の特徴

  • BtoC
  • 自社サービスの展開を行う。
  • 少数精鋭のエンジニア組織であることが多い。
  • BtoCが基本のため、会社の雰囲気は自由で色々と融通が利くケースが多い。
  • 扱う技術や開発体制などは古いものから最新のものまで様々。
  • 技術力は全体的に高め。
  • 自社サービスが当たれば高給。一方で当たらない場合すぐに低給化and倒産の危険性。

 

要するに、

  • SIerの特徴は、大企業安定方の働き方
  • web系の特徴はベンチャー気質な働き方

 

と言うことだ(筆者主観)。

 

SIerの種類

SIerは、企業の成り立ちや業務内容によっていくつかの種類に分かれる。それぞれの違いや具体的な業務内容を把握しておけば、よりSIer業界についての理解も深まるだろう。企業によっては複数の種類に該当するケースもあるが、種類別の特徴や代表的なSIer企業は以下の通り。

種類

主な特徴

主な事業内容

代表的なSIer企業

メーカー系

PCメーカーから独立したSIer

親会社やグループ会社のシステム開発

日立製作所、NEC

ユーザー系

一般企業から独立したSIer

親会社または外部企業のシステム開発

NTTデータ、SCSK

独立系

特定の親会社を持たないSIer

外部企業のシステム開発

大塚商会、日本ユニシス

コンサル系

企画提案や要件定義を行うSIer

外部企業のコンサルティング業務

NRI、アクセンチュア

外資系

海外を中心に事業展開を行うSIer

海外企業のシステム開発

MicrosoftOracle

 

SIerとSESの違い

関連記事として、SIerとSESの違いについて紹介した記事を掲載しておく。

【SIer と SESの違いとは?】〜現役SEの実体験を解説〜

本記事にたどり着いた人ならば、SIerとwebの違いよりも大抵早く調べる事柄だと思うので、すでに知っているよと言う方がほとんだと思うが、一つの文章として結構できの良い説明が書けたなあと思う記事なので、改めて違いを理解したいと言う人はぜひ読んでみてほしい。

 

 

SIerではない小規模な受託開発企業は、web系寄りな働き方ができる可能性が高い

受託開発とは、「こんなシステムを開発してほしい!」と言う企業などの要望に対して、「はいウチが作りますよ」と言うことで仕事を受託して開発する契約形態のことで、SIerなどの大規模企業がこの形態を生業としているケースが多い(お客さんの規模も大きいため)。

ただ、SIerとは呼ばないような規模こそ小さいものの受託開発をメインとしている受託企業の多くは、web系の技術に特化したモノづくりをしている会社も多く、また規模もSIerほど大きなSI事業を行うわけではない。

なので、SIerではない小規模な受託開発企業は、スキルや働き方自体は、エンジニアとしてモダンな環境を扱っているケースも多いため、古い技術、環境が主体のSIer業界と比較すると、web系企業寄りの要素が多い点が特徴だと言える。

 

 

タイプ別、SIer系に向いている人、web系に向いている人

では最後に、
タイプ別に、SIer系に向いている人、web系に向いている人を紹介していく。

 

SIer系に向いている人

SIer系に向いている人の特徴は、簡単にまとめると、
「リスクの低い安定した職場」で働きたい人と言えるだろう。

と言うのもSIer系の最大の特徴は「保守的な体制」だと言う点があるからだ。SIer系の場合、「エンジニアとしてガシガシ新しいシステムを開発してお金を稼ぐ」と言うよりは、「既存システムの担当として配属され、改修がメインの開発業務、合わせて運用・保守を担当」といった働き方がメインとなる。

つまり、燃えるようなベンチャー魂でシステム開発をしたい!我が身は自分で守ると言うハイリスクかつ不安定な働き方というよりは、すでにある程度確立した環境の中で、それらを継続・改善していくのがメインなローリスクかつ安定した働きになるだろう。

理由を説明すると、SIerがお客さんとする企業は上述したとおり、大企業や官公庁などといった大規模で歴史ある場合がほとんだ。その場合、すでに古くから稼働している既存システムが存在しているため、そのシステムのトータルサポートをするのがメインのお仕事になることが多い。なので、お客さん自体は元が太く一括で大規模な案件を継続受注できるSIer業界は、リスクが低く安定した環境のもとお仕事ができる業界と言えるため、と言う理由からだ。

 

モダンなエンジニアになりたいなら、SIer系はお勧めしない

一方で、「モダンなエンジニアとして技術力に長けた人材になりたい」と考えているならばSIer業界は向いていないと考える。開発技術や開発体制に対するモダンな考え方はSIer業界にはまだまだ浸透していない、と言うより浸透できないと言う背景があるからだ。

お客さんやシステムが大きく安定していることは良いことだが、その副作用として、システムや技術のリプレースもそれだけ難しく、扱う技術や開発体制が古いままと言う現状がSIer業界には存在する。つまり、仕事を通じてモダンなエンジニアとして技術力に長けた人材になるにはあまり向いていない業界と言えるのである。

また、SI事業は開発だけでなく、運用・保守といった作業も仕事として多く、純粋なエンジニアとしての成長機会が少なくなってしまうと言う側面も大きい。

 

web系に向いている人

web系に向いている人の特徴は、簡単にまとめると、「ベンチャー気質な環境でエンジニアとして成長したい人、堅くない雰囲気の会社で働きたい人」だ。

理由はもう詳しく説明する必要はないだろう。システムエンジニアと言う職業ながら、基本的にはSIerとは反対の性質を持っているので、そのような環境でエンジニアとして仕事をしたいと言う方は、ぜひweb系への就職を検討することをお勧めする。

 

エンジニアとして経験値の低い人はweb系をお勧めしない

ただ注意点として、エンジニアとして経験値の低い人はweb系をお勧めしない、というかそもそも入社すること自体困難だろう。

理由としてはweb系自社開発と呼ばれる企業の多くは、サービスが当たるか当たらないかが自分たちが飯を食っていくためにもっとも重要なことであり、提供したいサービスを実現するだけの技術力がない人材は基本的に、収益に直結しないため、ただのお荷物になってしまうからだ。

「SIerもそうなんじゃないの?」と思うかもしれないが、一人当たりの重さが違うと言う点を強調したい。

上述した通り基本的にSIer業界は技術レベルでいくとそこまで高くなく、また運用・保守といった仕事も多くあるため、早い話が人材の替えが効きやすいと言う側面があるのだ。そして、業界の人数も多いため、替えとなる人材もたくさんいるため、一人が会社に与える影響はプラスもマイナスもそこまで大きいものにはなりにくい。つまり、若手社員一人育てるくらいの体力・余力がそもそもSIerには有り余っているのだ。

一方で、少数精鋭で自社開発を行うweb系企業の場合、一人一人の仕事量・成果が会社の収益に直結してくる割合が高い。そのため、なるべく教育コストがかかるような新人は雇わない方針の企業が大多数だ。一人一人が会社に与える影響はプラスもマイナスも大きいので、当然である。

 

SES企業で経験値を積むと言う選択肢

筆者はweb系企業にに就職するための(言い方は悪いが)踏み台として、SES企業で経験値を積むと言う選択肢は大いにありだと考えている(SIerも入社難易度的に高いので選択肢から除外)。

詳細は下記記事にて紹介しているので、よければ合わせて読んでみてほしい。

自社開発Webエンジニア転職のためにSESで下積みはあり?なし?現役SEが解説

 

関連記事:その他

 

 

https://hataractive.jp/useful/4844/